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病バナに花が咲く

  • aoyama-mcl
  • 10月11日
  • 読了時間: 4分

手首が痛い。変な角度に動かすと、飛び上がるほど痛い。ご近所の杉山先生に診察してもらったら、狭窄性腱鞘炎、ドケルバン病というらしい。年齢のせいでもあるらしく、もう4ヶ月経ったのにあんまり改善しない。でもまぁサポーターやいろいろ工夫を重ねると、なんとか日常生活はには不自由はなくなった。「杉山先生、これって放置したらどうなりますか?」とお伺いしたとき、「2、3ヶ月経ったら治るんじゃないかな。みなさん来院されなくなるから。」仰っしゃっていたけど、今になってわかりました。ドケルバン病のみなさん、治ったんじゃなくて、諦めただけだから!


こんなふうに、やっぱり年齢とともに病気の話が多くなってしまう。

昨年春に高校の同窓会があったが、前回は「昔話に花が咲く」だけだったのに、今回はプラス大きく病バナが増加した。引きこもりがちなわたくしは「旧交を温める」集いにはあまり行かないほうだが、ここだけは多数のマメな同級生が5年毎に開催しており、なんとなく継続して行ってる。

広い宴会場で入れ替わり立ち代わり同級生と喋っていると、「肺ガンしてん。」(某主婦)「ぼくも実は膀胱ガンしてんねん。」(某医師)「急に寝たきりになって1ヶ月半入院してんけど、いまだに原因不明のままやねん。」(某女性社長)「脳腫瘍やってん。」(某主婦)

若かりし頃は恋バナいまや病バナ。枚岡神社のお祭りデートしたO君なんて、5年前は高校時代とあまり変わらないほっそりとした美しい姿だったのに、今回はふたまわり膨らんで誰かわかんなくなっていた。「なんなん、このでんと突き出したお腹は!」と突っつくと、「筋肉やんけ。」と言い返してきたが、実は脳梗塞をしてからそうなったらしい。


まぁそのあたりの親しい友人はそれなりに回復して悟りも開いたのか悲壮感もなかったけれど、ひとり半身不随がある男性が目についた。高校時代は交流がなかったのか、記憶はなかった。片側が不自由で、下肢には装具をつけており、それに加えて歩くためには杖が必要なようだった。誰と話すわけでもなく、テーブルを前に俯きがちに立っていた。

その後、持病のない少数派の某社長と二次会に向かう途中、その男性がホテル玄関の植え込みの端に腰をかけ、杖を持つ手に手袋を着けようとしていた。ただその片方の手が麻痺しているのか、うまく着けられない。咄嗟に手伝いに行こうとしたら、隣の某社長に手を引っ張られて留められた。

「やっぱ手伝えへんほうがいいっか。」「そやな。」「でもなんであんな状態で、来たんやろ。誰かに会いに来たんでもなさそうやし、宴会場でも楽しそうにしたはらへんかった。わたしやったら来えへんわ。」そう言うと、「まぁ闘うてるんやろな。自分とか病気とかと。」


「闘う???」まったく思いつかなかったのでちょっと驚いたものの、しばらく経ったらすっと納得できた。ただ、なんで社長になれたのかわかんないような飲んだくれ某社長でも、すぐにそういう理解ができちゃうのに、あろうことか精神科医のわたくしはまったく思いつきもしないなんて。これってどうなの。


つい先日、高市早苗さんが自民党総裁になられた。わたくしも高市さんに1票を投じたので、きっと女性人気や女性の応援すごいんだろうな思っていたら、なんかTVコメンテーターの女性がいやに攻撃している。女性の敵は女性かぁとか呟いてみたものの、聞けば、高市さんの政治姿勢や生き方が男性だから、女性の代表として応援できないからだという。いちゃもんですやん。高市さんを攻撃している女性らのその「攻撃性」はすごく男性っぽいんですけど、そこはどうなの。


「女性らしさ」「男性らしさ」の定義は人それぞれだと思うが、生物学的な性差は必ずある。形態だって明らかに異なっているじゃないですか。でも闘志があったら男性なのではない。優しかったら女性なのでもない。でも女性は秘めた闘志には気づきにくいかも知れないし、男性は秘められた優しさには気づきにくいかも知れない。「女らしい」「男らしい」がセクハラになってしまうこの時代にこういうのもなんですが、わたくしがかの男性が静かに闘っていることに気づけなかったのは、わたくしが「女らしい」からだと思う。きっとそう。

 
 

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